プロバイダーを共犯に問えるか

インターネットやユーチューブ(Youtube)の大きな特徴は、国境を越えて、瞬時に動画や画像などの情報がやり取りされる点だ。国境をはさんで刑などの法律がどう適用できるかという課題があった。利用者が急増している電子ネットワーク上での自主的なルール作りも始まった。
この場合は、関係者が国内におり、日本の刑法が適用されること自体に議論はなかった。しかし、プロバイダーを共犯に問えるかなどについて、慎重な捜査が進められた。

ユーチューブ(Youtube)など米国サーバー

議論があるのは、プロバイダーが外国にあり、日本人が国内からわいせつ画像を流した場合だ。ユーチューブ(Youtube)もこの中に含まれる。公然わいせつ罪は「国民の国外犯」(日本人が外国で日本の刑法に触れる罪を犯した場合)に含まれていない。
試しに、国内のインターネット端末から、米国のサーバー(ホストコンピューター)に接続すると、性器が露出したものなど、国内では「わいせつ」と判断される画像が届けられる。書籍や雑誌に載ったわいせつ図画を国内に持ち込む場合は、税関という壁があるが、電話などの通信回線を伝わって入ってくるインターネットでは、回線の途中に、内容をチェックする税関のようなところはない。

警察庁の見解「刑法が適用される」

警察庁は「日本国内から外国のホストコンピューターに、わいせつ画像・動画を送り、その結果、日本国内でも不特定多数が見ることができる状態であれば、刑法が適用される」という見解だった。国内の自宅などからこのコンピューターに画像・動画を送ることが犯罪の実行行為の一部にあたる、と説明した。

ネットに強い串田誠一弁護士(横浜市)

これに対し、インターネットを巡る犯罪に詳しい横浜市の串田誠一弁護士は「画像の公表が実行行為で、公表されるのが外国である以上、かなりの拡大解釈だ」と指摘した。
インターネットの性格上、情報は日本以外でも入手できる。少なくとも「専ら日本国内で画像を見るために画像を送った」という点の立件がいるとの立場だ。

詐欺まがいの行為の実例について警鐘

また、串田弁護士は、インターネットを使った商品売買での詐欺まがいの行為の実例や、ゲームがとばくに悪用されかねない危険性も指摘した。
米国が、1996年2月初めに成立した通信改革法で、インターネットを通じて未成年者にわいせつな動画や画像を流すことを処罰の対象にした。それについて「インターネットがテレビと変わらないほどの公共性をもってきたからだ」といい、「日本でも、弊害が出ないうちに議論や法律の整備を進めるべきだ」と提言した。

電子ネット協議会が「誹謗中傷しない」ルール化

一方、パソコンメーカーやパソコン通信業者、プロバイダーなど約100社で作る電子ネットワーク協議会は、「電子ネットワーク運営における倫理綱領」と「利用者のルール&マナー集」をまとめた。国内では初めての本格的な自主ルールだった。
ネットワーク上で「(他の会員の)誹謗中傷をしない」「他人のプライバシーに配慮する」などとともに、「わいせつな画像や文章などを載せない」などを定めた。
参考:https://xn--seo-222eo68m.com/

性的いやがらせや障害者への差別表現

電子ネットワーク協議会の国分明男専務理事は「女性への性的いやがらせや身障者への差別表現など、現実の社会で起きることがネットの上でも起きてきた」と現状を説明した。
各ネットワークが会員規約で禁止行為や、違反に対して事業者が情報を削除するといった対応を取ることを明らかにするよう求めるなど、踏み込んだルールを作ったという。

淑徳短大の藤江俊彦教授

日本マスコミ学会のメンバーの淑徳短大の藤江俊彦教授(環境コミュニケーション論)は「わざわざ接続して、うんざりするような情報もある。目に余る状況になると、『公共性』を理由に国などが規制することになりかねない。インターネットは自由な世界のはずで、市民の側から自主的なルール作りをするほうが健全だ。そういう盛り上がりが出てほしい」と話した。


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